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特許に関する紛争への対応

特許に関する紛争への対応

特許に関する紛争の場合、特許権を保有している「特許権者」の立場と、特許権を侵害してしまった「侵害者」の立場があります。

以下では、特許権者が特許権侵害を発見した場合にどうすべきか、侵害者が特許権者から「特許侵害の警告書」を受け取るなどの通知を受けてしまった場合にどうすべきかについてご説明します。

特許権者の場合

侵害者の発見

 お客様が特許権を保有されている場合、通常は競業者などが自らの特許権を侵害していないかをチェックされているかと思います。そのようなチェックをしている中で、「もしかして、あの業者の商品は当社の特許権を侵害しているのではないか?」という疑問を抱くところから、特許権者としての特許紛争との関わり合いがスタートします。

 業誹謗にはご注意を!

 他社の製品が自社特許権を侵害していると思っても、安易に取引先などに「○○社の製品はうちの特許権を侵害しているから買わない方がいい」などと発言しないようにご注意ください。逆に相手方から営業誹謗行為(不正競争防止法第2条第1項第14号)であるとして訴えられてしまう可能性があります。もちろん、侵害をしている相手方に直接警告を発すること自体は営業誹謗行為にはあたりまえん。

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特許発明の範囲に入るのか?

 特許侵害が疑われる製品を発見した場合、まずは本当に対象となる製品が自社の特許発明の範囲に含まれるのかを確認する必要があります。特許権の対象となるのは「特許請求の範囲」に記載された発明ですが、技術的な思想を文字で表しているわけですから、自社で発明をしたものとはいえ、その内容を正確に判断するのはそれほど容易なことではありません。そこで、まず、特許明細書の内容を詳細に検討し、発明の内容を正確に把握することが必要です。その上で、対象となる製品を分析し、実際にその製品が自社の特許発明の範囲内のものであるか否かを検討します。

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無効理由はないか?

 そして、もう1つ検討すべきことがあります。それは自社の特許に「無効理由」がないのかということです。特許庁において「特許登録」というお墨付きを得たと言っても、それは完全なものではありません。のちに、特許庁に対して「無効審判」の申立がなされ、特許が無効になってしまうことや、特許侵害訴訟の中で、裁判所が「特許は無効であって権利行使できない」と判断することがあるのです。したがって、特許権を行使する際には、できるだけ、無効理由の有無を検討しておくことが必要です。具体的には、自社特許の出願より以前に同様の技術が存在していたのかどうか、ということを調査することになります。

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相手方への通知

 これらの検討の結果、どうやら、相手方の製品が自社の特許権を侵害していそうで、無効理由もなさそうだといえる場合に、次に相手方に対して、何を要求したいのかを考える必要があります。①対象製品の製造や販売を止めさせたいのか、②これと併せて特許権侵害に対する損害賠償請求をしたいのか、③製造や販売の中止までは望まず、特許ライセンス契約を結びたいのか、といったことが概ね考えられる要求だと言えます。

 相手方に要求する内容が決まったら、今度は相手方に対して、その要求を通知します。例えば、上記①、②のように、対象製品の製造・販売の差し止めと損害賠償を求めるのであれば、「貴社は当社の特許権を侵害しているので、貴社製品の製造・販売の中止、及び、損害賠償として○○円を支払ってください」という内容の書面を送付します。

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相手方からの回答とその後の対応

 このような書面を送った場合の相手方の対応としては、①侵害を認めて話し合いによる解決を求める、②侵害を認めず、要求に応じない旨の回答をする、③無視する、のいずれかのパターンが多いと思われます。①の場合であれば、その後は話し合いで解決できることが多いでしょう。②や③の場合には、改めて書面を送る、もしくは電話をするなどして、相手方に交渉を促すことになりますが、それでも埒があかない場合には、いよいよ、法的手続を取ることになります(その他にも、日本知的財産仲裁センターによる「仲裁」などもあります)。

法的手続としては、主に①特許権侵害訴訟を提起する、②まずは侵害行為の差し止めを求めて仮処分の申立をする、という方法があります。ただし、これらの法的手続を取る場合には、時間と費用を多く費やすことになりますので、実際にこれらの手続を取ることによってかかる費用と得られると考えられる利益とを衡量して、慎重に検討することが必要です。

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以上が、特許権者としての特許紛争に対する対応の概略ということになります。特許紛争の場合、上記のように、相手方の製品が特許発明の範囲に入るのか、特許に無効理由はないのか、といった専門的な要素が多いため、特許に詳しい弁護士にご相談することをお奨めします。

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特許権侵害者とされてしまった場合

特許権者からの通知

特許権の侵害者(実際には、侵害者と疑われているだけですので、本来的には「被疑侵害者」というのが正解ですが、ここでは便宜上「侵害者」と記載しています。)については、多くの場合、ある日突然、特許権者から「警告書」と言った書面が送付されてくることによって特許紛争への関わりがスタートします。

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本当に侵害しているのか?

「警告書」のような書面が送られてくる場合、一般的には、その書面には、①特許番号、②特許発明の内容、③侵害者製品が特許発明の範囲に含まれること、④したがって特許侵害であるから、製品の製造・販売等の中止を求めること、⑤損害賠償を求める前提として、これまでに販売した製品の数量や仕入れ先の開示を求めること等が記載されています。

ここで、安易に「販売数量」等の開示に応じてはいけません。まずは、記載されている特許番号から特許公報を入手し、特許発明の内容を詳細に検討する必要があります。特許権は「特許請求の範囲」に記載された発明だけがその権利範囲です。

仮に、侵害者の製造販売する製品と特許権者が製造販売する製品とがほとんど同じものであったとしても、特許発明の内容が、特許権者の製品の内容をそのまま反映しているとは限りません。特許権者は、特許権を取得するために(先行する技術との差異を出すために)、特許発明の内容を限定してしまい、結果として極めて小さい権利範囲になっている可能性もあるのです。したがって、まずは、特許発明の範囲がどの程度まで及ぶのかを十分に検討する必要があります。

この検討を行うと、実は、侵害と主張されている製品は特許発明の範囲には入らないという結論に至ることも多くあります。

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無効理由はないのか?

特許発明の範囲に自社の製品が含まれるかどうかを検討した結果、やはり特許発明の範囲に含まれそうだという結論に達した場合には、併せて、特許に無効理由がないかどうかについても検討することになります。

「特許権者」の場合において記載したとおり、特許庁で「特許登録」された特許といえども、のちに、特許庁に対する「無効審判」によって特許が無効になることや、特許侵害訴訟の中で、裁判所が「特許は無効であって権利行使できない」と判断することがあるのです。

したがって、どうしても、特許権侵害と言われている製品の製造販売を中止できない、または設計変更も不可能であるというような事情がある場合には、特許を無効にできるような先行技術文献を探し出すという作業を行う必要があります。

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侵害行為の回避はできないか?

自社の製品の内容と特許発明の内容を分析した結果、やはり、自社製品が特許発明の範囲内に入ってしまうと考えらえる場合には、上記のように、問題となっている特許権を「無効」にすべく、特許庁に対して無効審判を申し立てるという方法もありますが、自社製品の設計変更をして、特許発明の範囲に入らないようにしてしまうという方法もあります。

ただし、この場合、特許発明のうちの些末な部分だけを変更しても、結局、特許発明の範囲内であると判断されてしまうことがありますので、どの部分を設計変更すれば確実に特許発明の範囲から逃れられるのかについて、十分に検討する必要があります。

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特許権者への回答

特許権者からの警告書などの通知には、通常、「30日以内に返答せよ」など、回答期限が示されています。しかし、上記のように、侵害者の側では、本当に侵害しているのか?、特許に無効理由はないのか?といったことを検討する必要があり、特許権者が求めるような期間で満足な回答をできることは少ないと思われます。そのような場合には焦って回答する必要はなく、「現在、検討しておりますので、○月末までに回答します」といった回答をしておけば十分です。

具体的な回答としては、①侵害を認め、話し合いによる解決を求める、②侵害を認めず(特許に無効理由があるとして)、特許権者の要求を拒絶する、③侵害は認めないけれども、紛争を望まないので話し合いで解決を求める、というのが主なものになると思われます。

①のように、侵害を認める場合であっても、ひとまずは「対象製品の製造・販売等はすでに中止したので水に流してほしい」という旨の回答だけにしておくことも考えられます。特許権者としては、侵害品の販売がひとまず中止されれば、一応の満足が得られますので、さらに損害賠償までは求められない可能性もあります。

②にように、特許権者の主張を否定する場合には、当然、双方の主張が対立することになりますから、訴訟などにまで発展することがあります。もちろん、侵害者側としては、特許権侵害ではない(特許に無効理由がある)と思っているわけですから、訴訟を提起されても勝訴できるかもしれませんが、訴訟となれば、やはり、時間も費用もかかります。したがって、特許権侵害でないと考えるときであっても、③のように、ひとまず話し合いを求め、法的手続に至る前の解決を図るほうががよい場合もあるでしょう。

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以上が、特許権侵害者の特許紛争に対する対応の概略ということになります。特許権者の場合と同様、上記のように、自社製品が特許発明の範囲に入るのか、特許に無効理由はないのか、といった専門的な要素が多いため、特許に詳しい弁護士にご相談することをお奨めします。

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ごあいさつ

(左)横井、(右)河野
資格

平成16年弁護士登録    (第一東京弁護士会)

親切・丁寧な対応をモットーとしておりますのでお気軽にご相談ください。